彼女に捧げる新世界
ニルだ、
そう思い近付こうとした瞬間。
足が凍った。
少女が見ているものが………ニルではない化け物の姿をしていたから。
黒い翼を持った鳥にも似ているが違う、鋭すぎる爪や鱗のようなものに包まれた脚………。
動く度にバラバラと落ちる羽、顔も鳥ではない。
気持ち悪く光る長い牙、それが嘴の奥から覗く………。
チラチラと覗く目のような光も同じ色合いなのに………まったく違う雰囲気を放つ。
あれは知らないっ。
全身に寒気が走った。
あんなものは違う、
そう思っているのに恐怖が体を支配する。