彼女に捧げる新世界
景色が突然消えて別のものに変わった。
今度は薄暗い部屋の中に変わり、古めかしい香りがする………。
暗くなったせいで目が慣れない中、必死に見つめると、また………覚えのある景色だった。
長い時間独りぼっちで過ごした塔の一室、壊れかけた寝台にはわたしが暗い顔で狭い隙間を見ている。
伸ばしっぱなしの髪、ほつれた服………。
今のわたしとかけ離れた姿だ。
何も希望のない狭い世界には絶望を越して虚。
辛いという感覚さえ鈍った……、
羨ましく思っても手が届かないのもわかっていて何も求めなかった。
唯一だったのが隙間に毎日来てくれた小鳥………。
隙間から差し込む光、ふと顔をあげた少女はそれの訪れに駆け寄った。
確か………自分の分身と言っていた気がする。
そこに目を向けると、いたのは小鳥なんかじゃなかった。