彼女に捧げる新世界
こちらに指先を伸ばす腕、触れたら切れてしまいそうな鋭い爪。
その奥に光る飢えた獣の姿………。
さっきの姿とは違う、けれど言葉に出来ない恐怖を覚える。
違う、違う違う。
ニルじゃないっ!!!
叫びたいのに唇は少しも動かなかった。
混乱しそうになる思考をやっとの思いで保っていると、また世界が変わる。
ドレス姿のわたしが草むらの先にいる黒いものを見ている。
早くなる鼓動、
でも目を逸らせない。
この先にいるものもきっと彼、
違う姿の彼だ。
黒い塊が動く、
もぞもぞと起き上がる弱った姿。
あれ………??
視線の先にいるものに疑問を感じた。
翼はわかる、
でも、これまでと違い人に近いのだ…………。
黒い塊の翼からハラハラと落ち、艶やかな髪と青白い肌が覗いた。
しかし、