彼女に捧げる新世界
もっと早い???
「…………無法地帯だな」
想像の及ばない世の中だ。
「わたしもよくわからない事は多いわ。
そういえば、あなたの名前は………?」
ミラは今更だが、男の名前を尋ねた。
何かと不都合もあるし、今の彼からは敵意を感じない。
聞くなら今だと思った。
男は一瞬唇を噛み、少し躊躇いながら、
「カイト」
と短く言った。
「………よろしくね」
「あ……ああ」
ぎこちないものの、少しだけ打ち解けられた気がした。