彼女に捧げる新世界
「知らなくてもいい事なんてない、わたしが知ってるニルは限られてるから………。
もっといろんな事を知って役にたちたいの。
ここに来たのもなにか理由があるはずだから………」
「逞しい女だ。
しかし………力を共有したくらいでいい気になるなよ、人間。
お前の眼前にあるのはおぞましい“闇”
惹き付けられるのはお前に“闇”があるからだ」
生涯忘れることのない闇、孤独だ。
光のない世界に生きたからこそ、暗い者の側が心地よいというもの………。
ミラの心の底に今もこびりついた孤独は簡単にはなくならない。
彼が言いたいのはその事だろう、
「違うわ!
誰よりもニルが好きだもの、ニルはわたしにとって闇なんかじゃない!
光なの、眩しいくらいの!」
暗くなんかない、
闇に惹かれたんじゃない、
ミラはさっきまでの混乱も忘れて必死に声を強くする。
誰にもわたしたちの事を悪く言われなくないっ。
魔王はミラを鼻で笑った。