彼女に捧げる新世界
水底から泡が浮かぶ………、
そんな感じだった。
ポコリポコリといきつも浮かび明るい境界で弾ける。
深く底なしの闇の中からは光はとても遠い。
安らかな気分であっても“死”は自身にはないだろう。
消えたとしても、次の魔王は自身の蓄積した知識を持っていく………。
どんな記録も洩れることない。多少、時のズレがあっても世界中の出来事は望むだけ手に入る。
俺が愛した“彼女”を他の者も見るなんて許せない。
彼女の全てが俺のもので、どんな彼女も見せたくない。
彼女の記憶が継がれるくらいなら魔王としての記録全てを消してもいい。
彼女との記憶は俺だけのもの………。
醜くも、執着が自身を存在させたのだろう………。
心地よい闇が自身を放していく………、
暖かな闇の中から冷えきった境界に手を伸ばした。
声が聞こえたから。
俺を俺たらしめる姿で喚ぶ彼女の声が…………。
異世界の眷族たち、
世界を疎むな………、お前たちの誇りが今も世界を清浄なものとしている。
王がいなくとも、お前たちを捨てはしないよ。
欠けた器ではならない、完璧なものを………。
手伝ってくれ、