彼女に捧げる新世界


人形が人になる。


鼓動が耳に届くと、私の視界は闇になり………音が消えた。













冷たい地下の廊下はまるで大昔の霊廟かのようだ。


数メートルごとに頼りない灯りが細く灯る。

静かな場所だ、


ここは俺しか入れない厳重に管理された場所だから。

管理者や科学者たちもエルファリアの真実は知らない、

まして、ここの地下に本体があることも………。




魔王やミラ達が消えてしまってから、仕方なくカイトは地下に降りた。


長い道を歩くなか、様々な思い出が蘇っていき複雑な気分だ。



もしもあの日、知らなければ彼女は今も生きていたのではないか?

革新を起こさなければ平和に、


自分と関わらなければもっと自由に…………。



疫病神になっていたのだろう。



全てを奪い、狂わせた俺は………。



リアの笑顔を奪ったのは紛れもなく自分、


…………いつから悲しい顔をさせたんだろう?


何も知ることなく、未来を夢みて欲しかった………。


純粋な人間である彼女には。






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