彼女に捧げる新世界
暗い地下に閉じ込め、身体を奪い、命を奪った………。
意識だけでも、それさえ罪ほろぼしにはならない。
分厚い扉の前に立ち、網膜をチェックするとそれが開いた。
一歩進むと柔らかい照明が灯る………。
いつもと変わらない室内の真ん中には“彼女”が横たわる。
近付き、ゆっくりと髪を撫でると、飾った花の花弁がパサリと落ちた。
どんなに謝っても再び目を開くことはない………。
今感じる痛みは本物だと、想いは偽物じゃないんだと強く意識した。
目覚めることがなくても、ここでの安らかな眠りを守り続けると…………あの日誓った。
それが唯一の償いになるかもしれないと思ったから。
誰もいないネットワークの世界で時々会って、話を聞いてやって………。
寂しがらせないように、孤独にさせないように。
許しを請うように………。