彼女に捧げる新世界





告白って何だった……?


カイトは呆然とそう思った。



学生の頃に何回かあった気がするが、こんなに衝撃を受けただろうか?


起きるはずのない事がありすぎてさすがに頭がパンクしそうだ。



夢でもみてるのかもしれない、
リアが俺を許すわけがないだろう?





でも、自身の確かな鼓動を感じる。


瞬いても、視界は変わらない。





少しだけ手を伸ばし彼女に触れる………、

動きはなく、少しだけ温度を感じた。




その瞬間身体が勝手に動き、華奢なそれを潰さん限りに抱き締めた。


何故だか唇が震えて目が熱い。

何も考えられそうになかった。




彼女の言葉よりも何よりも、“奇跡”を感じたい。



叶わなかった望みと、思い出の奔流にただ抱き締めた。











なんて弱い………。



俺は弱すぎた。




国の事も立場も秘密さえどうでもよいくらい、今を刻みたい。


完全なものなんかじゃなかったんだと、改めて思い知った夜だった…………。







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