彼女に捧げる新世界
“If”
もしも………、
あの日あの時あの場所。
あの景色、天気、気温…………。
たった一つ違うだけで、未来は変わるほどに枝分かれしている。
過去を振り返れば、全てが運命といえることなのだろう。
今できる事全てが、私だけでなく様々な人々との関わりによってだ。
いつか母は言っていたの、
恋することも別れも、運命。
繋がるか離れるかは自分次第、と…………。
縁とは本当にあると、そう思った。
「足元に気を付けろ」
リアの手を引いたカイトは、さっきの暖かな抱擁とは正反対な冷たい声だった。
起きたばかりで不安定な体を気遣ってくれていることはわかるが…………、
少しは優しい言葉が欲しい。
抑揚のない声は今始まった事ではないが、微妙に納得がいかない。
「…………私たち本当に恋人になれたの?」
くっついたり、キスしたり………いろいろしたいよ。
彼は彼女の心知らずで外に出るなんて言い出したのだ。