彼女に捧げる新世界








“If”


もしも………、

あの日あの時あの場所。


あの景色、天気、気温…………。



たった一つ違うだけで、未来は変わるほどに枝分かれしている。



過去を振り返れば、全てが運命といえることなのだろう。



今できる事全てが、私だけでなく様々な人々との関わりによってだ。





いつか母は言っていたの、

恋することも別れも、運命。

繋がるか離れるかは自分次第、と…………。






縁とは本当にあると、そう思った。













「足元に気を付けろ」



リアの手を引いたカイトは、さっきの暖かな抱擁とは正反対な冷たい声だった。


起きたばかりで不安定な体を気遣ってくれていることはわかるが…………、

少しは優しい言葉が欲しい。



抑揚のない声は今始まった事ではないが、微妙に納得がいかない。





「…………私たち本当に恋人になれたの?」



くっついたり、キスしたり………いろいろしたいよ。



彼は彼女の心知らずで外に出るなんて言い出したのだ。
< 146 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop