彼女に捧げる新世界




ポケットの中の端末機を探り周囲の様子を探る。


表示されるのは自分の位置と彼女を示す点…………。


二つ以外に生命反応は無かった。



それにより緊張が少しだけほぐれる。




ふぅ、と息を着き、心を落ち着かせた。

何が何なのか、まだしっかりとはわからない。


あの黒い魔王とは話さなければならない事がある、ヤツが鍵を握っていることは間違いないからだ。





「魔王!!」



答えてもらうぞ。






叫んだ声がフロアに響いた。


そして数秒後にそれは現れる…………。



黒い翼から羽音はない、異様な存在感を出しながらも生命を感じさせないそれは悠然と自分を見下ろした。


以前見た時よりずっと異質なものに感じる。


瞬き一つしない瞳や、血色の悪い肌。
様々な疑問が浮かぶ矛盾の存在は見透かすようにカイトを見つめた。







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