彼女に捧げる新世界
「……………叫ばなくても聴こえているよ」
うるさい男だね………。
機嫌が悪そうに片方の眉が上がる。
奴はチラリと自分の奥にいたリアに視線を向け、再び戻した。
「聞きたいことも検討がつく…………、けれど解はお前には理解の範疇を越えているよ」
「お前の存在事態が理解出来ないな。
あれだけ渋っておきながら何故彼女を蘇した?」
彼女は脳しか生きていなかったはずだ。
どうやったかじゃない、どうして、かだ。
考えを読ませない無表情が映る、自分に似た………けれどまったく違う姿の魔王。
寒気がするほどの美しさはゆるく瞬く、
「理解する必要さえ感じないね………。
死んでいない者ならどうにでも出来る」
命を奪うことも、癒すことも………。
「代価はどうした……?
何を奪った?」
無償でなど考えられない。
気付かないうちに何かを奪われているかもしれない。
射るような険しい視線を受けてもニルは涼しい顔でカイトを見る。
無表情が意地悪そうなものに変わった。
「………これからもらうよ。
大事なものを」