彼女に捧げる新世界
「ああ、現在位置から地図を出そうとしてる。
だが磁場が強くて方位の表示も難しい」
地図なんて紙のものしか見た事が無かったミラはまたまた驚いたが、複雑な表情の前に隠した。
「大丈夫だよ、ひとりぼっちじゃないもの」
そう言ったミラを見つめるカイトは驚きを隠さなかった。
「状況が理解出来ているか?ここは樹海だ………俺は訓練を受けているからなんとかなる。
だがお前を伴っては正直微妙だ……」
「わたし……?
わたしはひとりぼっちが慣れてる。それに、」
この世界にも少ないが眷族がいる、先ほど………彼と会う前に見つけた。
彼らは必ず善良とは限らないが、きっと助けてくれるはずだ。
ミラは何もない空間にスッと手を伸ばした。
「ねぇ……森を出たいの。助けて」
彼女が呟いた瞬間に森の木々が光輝き、膝を折った六本足の白い馬が現れた。
馬は彼女に深々と頭を垂れる。