彼女に捧げる新世界
「…………つまらない、カイト=ジェス=オルワンド。
殺すことなどいつでも出来る。
見ていてごらんよ、これから代価を貰うから………」
囁かれた言葉が届く時には自分の体も泡になっていった。
焦って動こうにも、もう手も足もない。
自分に出来たのは、ただ魔王の姿を見続けただけだった………。
意識はそこで途絶える。
ミラ、これでいいでしょ?
一番いい席で、綺麗なものを見せてあげるよ。
「ニル………………?」
声が聞こえた気がして目が覚めた場所は雷雲の近い最上階。
激しい風が吹いているのに何も感じない。
何故か、自分の周りだけ春のような暖かい空気が流れている………。
そして体をすっぽりと覆う黒い翼。
彼がいたことは間違いない……。
けれど姿はない、
一体どこに?