彼女に捧げる新世界
「彼女は…………?」
そう問うと、
「そう遠くない場所に飛ばした」
そこを見るように視線を向ける。
飛ばした、ということは………ちゃんといるのだと思った。
自分の足で立ち、自身の意思を持って歩き出すことを決める。
今………何を見て、どんなことを想うのだろう?
人間の彼女たちにはこの美しい光は見えない。
極彩色の夜も、魔力を纏う蛇のような雷も…………ただの雷にしか見えないだろう………。
残念だね………。
そう思わずにはいられないほど、この夜は綺麗だ。
「何を………?」
何をするの………?
ミラの言葉にニルは彼女の頭を優しく撫でた。
「………エルファリアを破壊する………。
やり直すことが出来ないくらいにね」
偽りの母はもういらない、機械は機械でいいのだから。
身に余るものを求めても手に入らないとわからせるためにも、
彼女の存在は必要ない。
「…………リアはどうだったの?」
「順調じゃない?
会話を聞くほど野暮なことはしないよ」