彼女に捧げる新世界



二人同じ場所に飛ばしたから、今頃はきっと話くらいしているだろう………。




ミラはホッとした様子で息をつく。

黒い翼は吸い込まれるようにニルに溶け、やがて彼を包んでいた翼は全て消えた。


「…………ありがとう、ニル」


彼女がそう言うと彼はゆっくりと頷く、


「いいよ…………。ミラのお願いならいくらでも叶えてあげる…………」




ゆっくりと伸ばされた腕の中に納まり彼の香りで肺を満たすと、胸もいっぱいだった。


魔王でも人でも………なんだったとしても、ニルはニル。

彼の香りと感触にこの上なく安心する。




お願いなんてしなくてもいいの、ただ………側にいられたらそれでいい。







ニルはわたしを閉じ込めたまま、とてつもない大きな力を使った。


闇に包まれた空が白むほどの雷が目の前に落ちる、

目を閉じる間もなくそれを見つめたわたしの心臓は一瞬止まった気がした…………。
















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