彼女に捧げる新世界
「憐れだな」
「!!」
ベッドに座りぼんやりとしていたリアはひどく驚いて、飛び上がりそうだった。
振り向けば、朝だというのに非の打ち所がない姿のカイトが壁に寄り掛かる。
物音も気配も感じなかった。
自分も軍学校に通っていたが、現役とはやはり格が違う。
寛いでいる様子でも、どこか威圧感があり、言葉がすぐに浮かばない。
視線をさ迷わせる彼女にカイトが落ち着いた声で言う。
「おはよう」
「………おはよ…う」
「朝にしては遅い時間だかな」
チラリと時刻を見れば、昼を回る少し前。
「ごめん、寝すぎちゃって」
なんだかいたたまれなくなり、少しうつ向くと、
ぷにっ。
と、頬を掴まれた。
「腹が朝食を催促してくる」
「??」
おなかすいたってこと?
ぽかん、としている彼女の頬を離すと彼はスタスタと行ってしまった。
それからしばらくして、笑いが込み上げてきた。
少し可愛くないけれど、食事を待っているというのがなんだか可愛い。
催促してくる、ということはおなかが鳴ったのだろう………。