彼女に捧げる新世界
「確かに………、お力を借りられるならば都市までお送り出来ますが。
姫君はこの世界の住人ではありませんので戸惑われるかと………」
あの都市は我々から見ても理解に苦しむ。
力に固執し、法に縛られ、機械に依存する世界だ……。
眷族が少なく、力の小さい者の多い世界。
魔王もいない、そんな中で異世界からの姫にはどう映るのか………。
「大丈夫、ここにずっといるわけにもいかないし。
帰る手段を考えるためにも彼の都市に行くわ」
ミラは淡々と馬に告げる。
どうしたらいいのかわからないが、ずっとここにいるわけにもいかなかったからだ。
「連れていってくれる………?」
「………」
「カイトもお願いして?
彼はあなたを知っているみたいだし」
「俺が………?」
白い馬から視線を外し、いきなり振られて驚いたカイトが大きく目を開いた。