彼女に捧げる新世界
扉を開く瞬間、私たちはきっと同じ不思議を感じた。
「はい……」
「こんにちは?」
ハッとしたリアとカイトが勢いよく扉を開ける。
見えたのはふわりと舞い上がった白いワンピース、そして少女を守るように腰を引いた細い腕。
陽の光さえ霞む黒い髪と長身…………。
「ミラ……!!?」
リアが上擦った声で叫べば、少女はふわりと微笑んだ。
「うん、二人とも………元気そうでよかった」
「………」
カイトは複雑な表情で周囲を伺い、中に入るように促した。
この二人は目立ち過ぎる、それらしい格好でも雰囲気が自分たちとはかなり違うから。
「どうやってここへ??」
興奮するリアがまくし立てるが、ミラたちは雰囲気に流されない。
「歩いてきたのよ、あちこちを」
「…………歩いてこれる距離ではないだろう」
ボソッと呟いたカイトをニルがチラリと見る。
「この街までは飛んだよ、あとは徒歩だ」
………。
相変わらず理解の範疇を超える答えだ。