彼女に捧げる新世界




「それで?」


カイトはふいに言葉を切った。


その先に続く言葉をあえていわないのも彼らしい。


あくまでミラたちから話を聞くためだろう……。




ミラは思い出したように向き直る。



ゆっくりと瞬き、ここへ来た目的を言った。





「ここに来たのは…………お別れをするため」






やはり、とカイトは納得するが、リアは目を見開いた。


「そんなっ!!

まだ何もお礼できてないっ!返せないくらいのことをしてくれたのに!!」


「いいよ………俺の気まぐれだから」


慌てるリアに冷水のような言葉を浴びせたニルは、彼女に視線さえ合わせてくれない。



ミラの方は穏やかに微笑んで二人を見る、



「わがままを言ったのはわたしよ、リア。

そんなに畏まらないで、元気な姿が見られて………こうしてお話できただけで楽しいよ」




「でも……、」


「今は楽しい?」



言いよどんだ彼女に優しく問いかける。



楽しいなら………、自分は嬉しいし満足だ。

少しでも今を楽しんできれているならそれで充分。



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