彼女に捧げる新世界





「ミラ?」


ニルの声でハッとする。


彼を見れば、スィっと視線を外に向けた。


意味はもちろんわかる。


もう終わりなのだと、


穏やかな時間が心地よくて忘れそうだった。

帰る場所があることを、



「…………リア、カイト」

二人が自分を見た。


唇がうまく動かない………。



たったいくつかの言葉が浮かんでは消えてを繰り返し、言わなければと思うほどに胸が痛くなる。




せっかく知り合えた人達と離れ、別れる。



寂しさ、悲しみが渦巻いた。



いつまでもいることは出来ない、ここは自分たちのいるべき世界ではないから。



「わたしたち………帰るね。
出会えて、よかった」


もう二度と会えないと思う……、





< 177 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop