彼女に捧げる新世界



「わたしと出会ってくれてありがとう、いろいろなものを見せてくれてありがとう…………」


無知なわたしには難しく厳しいところだったというのに、遠い彼の眷族やカイトリア………。




「もしも、この世界に来なかったら………わたしは消えていたかもしれないの」

愛する人を失う絶望は生きる希望も喜びも、何もかもを闇に飲み込む。



「失いたくない、そして彼の大切さ、独りの寂しさ虚しさ……忘れてしまっていたことが鮮やかに蘇ったよ」



出会いは別れの始まりというかもしれないけれど、記憶にはいつでもキラキラと残るでしょう?


交わらないものが交じってどんどん新しいものが見えていっても、人の芯にあるものは変わらなかった。



「あなたたちに出会った運命を…………とても感謝しているわ」










思い出を土産に、あるべき場所に帰る、



彼らの話をして、思い出を語って、未来を描く………。


遠くても、見えなくても。


< 179 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop