彼女に捧げる新世界
「わたしと出会ってくれてありがとう、いろいろなものを見せてくれてありがとう…………」
無知なわたしには難しく厳しいところだったというのに、遠い彼の眷族やカイトリア………。
「もしも、この世界に来なかったら………わたしは消えていたかもしれないの」
愛する人を失う絶望は生きる希望も喜びも、何もかもを闇に飲み込む。
「失いたくない、そして彼の大切さ、独りの寂しさ虚しさ……忘れてしまっていたことが鮮やかに蘇ったよ」
出会いは別れの始まりというかもしれないけれど、記憶にはいつでもキラキラと残るでしょう?
交わらないものが交じってどんどん新しいものが見えていっても、人の芯にあるものは変わらなかった。
「あなたたちに出会った運命を…………とても感謝しているわ」
思い出を土産に、あるべき場所に帰る、
彼らの話をして、思い出を語って、未来を描く………。
遠くても、見えなくても。