彼女に捧げる新世界
おとぎ話みたい、
私達はあの後でそう思った。
でも、あれは夢なんかじゃなくて現実だったんだ。
都市の母は私だったけれど、誰も知らない秘密で……彼は元首相。
人生ってわからない、と母は言っていた。
子供の頃は意味わからない言葉だったけれど、今は少しだけわかる気がする。
魔王とミラが消えて数ヶ月、私達の生活は少しずつ変わっていった。
彼は穏やかになった気がするし、私も自身も何か変わったと思っている。
今、私の左手には誓いの指輪がキラキラと輝き、もう迷うことのないようにと、照らしていてくれるような気がした。
誰も招待出来ないけれど、私達はもうすぐ式を挙げる。
二人きりというのも逆に素敵かもしれない。
寂しくなんてない、
未来も二人一緒に幸せになるから………。