彼女に捧げる新世界
雲の上の宝石たち
少し遡ると、わたしたちは空の上にいた。
風を感じて目を開くと、雲の上だった。
地上も見えない遥か天空、強風と薄いはずの空気はまったく感じない。
ミラを抱いたニルがゆっくりと瞬くと、目の前には白い少年がいた。
「…………シム!!」
嬉しくなったミラが声を上げれば、彼は優雅な礼をした。
いつの間にか離れてしまった彼を気にはしていたが、なかなか切り出せなかったのもあった。
ニルは気付いていただろうか??
どちらでもいい……。
ただ、今は再会が嬉しかった。
澄み渡る空の上は誰の目にも触れないし、ニルといる限りなにも怖くなんてない。
そのニルはふわりと雲の上に立った。