彼女に捧げる新世界
「…………お前はよくミラの傍にいてくれたね」
とても静かな声、そこからは何の感情も感じない。
「大丈夫だよ、俺はちゃんと力を統合してる………氷のようにならなくても塵になんてならない」
それでも恐ろしい……?
彼の眷族は強張った表情で頭を垂れた。
「魔王様、私ごときには勿体ないお言葉です」
「………近くも遠くからもミラを守ってくれていたね。
礼を言うのは俺だよ、見送りまで来るとは律儀な者だね」
ニルは普段見せないほど柔らかい表情を作り、緊張をほぐしてやろうと思う。
すぐに話したい、
けれどもう少し待たなければ………と思ったミラは黙ったまま様子を伺うしかない。
早く終わってくれないだろうか?
本当はシムとゆっくり話したいのに。
「身に余るお言葉です」
「楽にすればいい、」
シムがカチコチに緊張を漂わせているせいか、ニルは穏やかに言った。