彼女に捧げる新世界
「どうして姿を隠してしまっていたの??」
気付いた時には彼はいなかった。
探そうにも、彼らのいるような場所の見当などつかない。
それでも時間は過ぎていき、ニルと過ごす内に忘れてしまっていた。
シムが僅かに眉を下げ、叱られた子供のような顔を作る。
「………姫君、私には魔王様が纏うお力は膨大過ぎて、お近くにはいられなかったのです。
けれど……何か出来ないかと、いつも見つめていました」
少しでも危険が及ばないように、あなたが幸いであられるように………。
「………ごめんなさい、気付けなくて」
「いいえ、こうして明るい表情が見られただけで嬉しく思います」