彼女に捧げる新世界
「異郷の地は心細かった…………?」
「うん。
でも、いろんなものを見て触れて………すごく刺激的だったの。
いろんな人たちが通りすぎていくなかで、何か感じる人と出合うってすごいことだね」
ミラがどこか大人に言う。
彼女はほんの少しの間に成長していて、
世界が広がって、
大切なものが増えていくのだろうか…………?
ニルはミラを見ているのに、実際は違うものを見ているかのように瞬き一つしない。
見られるのは慣れているが、恥ずかしい気持ちになる。
「ニル、何か言って?」
もっと、
もっともっと話したい。
離れた時間を埋めたいの。
小首を傾げる彼女を優しく撫でながら浮かべた笑みは、今まで見た中で最も人らしく見えた。
「運命は動かなければ回らないよ、
全てそう。
始まりもね」
立って。