彼女に捧げる新世界
いっておいで、
そう言われたような気がした。
「間違えることはないと思う、でも確かめて欲しい」
ここに眠る人を………。
そっと離した手、ゆっくり進む足。
ミラは崩れた石にたどり着き、草花を少し避けた。
長い時により崩れる石に彫られた文字は名前。
それは二行になっていて、必死に解読していく…………。
背後にはニルがいる。
そっと肩に置かれた手に励まされ、読み終えた瞬間。
わたしは時が止まった。
「故ジェイド=スフォルティ、エミリア=スフォルティ。
×××年、×の月、×日、名誉の殉死。
まだ幼い最愛の娘ミラが健やかに育つことを切に願う…………」
ニルの声がわたしの涙を溢した。
愛されていた、
死の淵でさえも………。
わたしを想ってくれていた!
いないと思っていた両親、知らない温もりに憧れた子供のころ。