彼女に捧げる新世界



遺体でさえ帰らない両親にどれだけ憧れた?


当たり前に母に抱かれた子供にどれだけ羨んだ?






どうして欠片でも思いを気づかなかった……?







「ニ、ル…………っ」



一人じゃなかった。

魔女でもなかった。



ちゃんと、人から生まれてた。



お父さんとお母さんがいてわたしがいた。


きっと赤ちゃんの頃はたくさん抱いてくれている。




涙でぐちゃぐちゃなまま彼にすがりつくように泣いた。


ありがとうって言いたくて、こんなに大きくなったって言いたくて………愛する人が出来たって伝えたかった。


落ちていく涙が土に染みて、骨に届いて、伝わったらいいのに………。




どこかから二人で見ていて欲しいと願わずにはいられない。

百合の香の腕の中で赤子のように泣いた…………。













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