彼女に捧げる新世界


「いいよミラ、部屋にいこ」


空気を読む気配もないニルにミラはイシュが可哀想で仕方ない。


それにおなかも空いてる。

そっとハンカチを拾い上げ小さな顔の洪水を止めてあげながらも、あまりに可愛らしい姿に内心ドキドキだ。


「大丈夫だよイシュ、鼻水も涙も可愛いわ。

わたしとても嬉しいの、帰る場所と待っててくれたひとがいるんだもの!


おいしいごはんも食べたいよ」


「奥方様ぁ…」


もったいないもったいないと言いながら再び泣き出すイシュに困りながらも、やはり嬉しい。




「ねぇイシュ、スーはいないの?

スーにも会いたいわ」



青い髪が綺麗で美人で丁寧だけどちょっと変わった女性。

彼女はどうしてるのか?



ミラがそう言うと、イシュはズズッと鼻をすすった。


「スーディアは…………格闘技を極めると言って旅に出ました」


「「は?」」



ニルとミラの声が見事に重なり、二人とも唖然とする。



不思議な部分はあったが、今度の彼女は一体何の為にだろう…………。



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