彼女に捧げる新世界
序章
おとぎ話は好き?
私は好きよ。
だって切なくも甘くて、幸せな終わりだから。
王子様はいつだってお姫様を迎えに来るのですって………。
私が壊れたら悲しんでくれる人はいるかしら……?
私はきっと壊れているのね。身体はたくさんあるけど、どれも本当の私じゃないわ。
理想的な人格、母となるように定められた思考。
全てに平等で、国に住む人々の望む知識を与える。
高度な情報は鍵をかけて守って、多くの機密と絶対的な時間を刻み、繁栄だけをもたらす。
でも、
小さな歪みはやがて大きくなり、抗えない波を起こすでしょう。
あの人が目論む事はきっと世の中を変えるわ………。
だって、おとぎ話のような事をしようとしてるもの。
代償は決して安いものではない。
私は………人に近づきすぎてしまったからわかる。
あの人は過ちをおかすと……………。