彼女に捧げる新世界
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ニルが連れてきた場所はわたしの想像とは少し違った。
ほんの少しの期待は恥ずかしさな変わると同時に違うこを考えて気を紛らわせようともじもじする。
お腹に回る手に一瞬力が入ったとき、思わずビクリとしてしまった。
「………ミラはわかりやすいね」
言われた瞬間燃えそうなくらい熱が上がったミラはじたばたと暴れる。
「そ、そんなんじゃないよっ!ニルが、」
「俺が?」
手を離した彼はからかうようにミラを見つめて楽しんでいる。
もやもやしながら向き合うといっても見上げるのだが、余裕そうな目元に体を隠すように腕を組んでささやかに抵抗した。
「イヤらしい言い方だったもん………」
「望んでた?」
「ちがうよっ」
「………」
否定されるとさすがにキツイ。
ムッと口を尖らせる彼女を軽く撫でてみるが、視線は中々合わない。
期待に答えたほうがよかったのか?
そう思いながらも機嫌を直したくてそっと肩を抱いてエスコートしようとすれば躊躇いがちに足が動いた。
本来魔王であるニルには縁の薄い場所、
教会。
行事意外はあまり人気のない場所であるため静かで心地のいいところだ。
白い壁に高い天井、極彩色のステンドグラスに照らされる室内は清浄な空気に包まれている。
両脇に何列も並ぶ長椅子の間を抜けて一番前の祭壇に近い場所で足を止めた。
ミラは不思議そうにニルを見つめている。
「………目を閉じて、」
金と緑の交ざる魔のそれが瞼に吸い込まれるまで見つめ、ニルはいつか見たそれを再現した。