彼女に捧げる新世界
目を閉じる彼女の姿にちょっとした贈り物。
思った以上に似合うそれを自分が決してわすれないと隅々まで見つめた。
すごく暖かいと思う。
触れられることは本当に幸せだ。
「ミラ」
ゆっくりと開く瞳は数回瞬いた後、驚きに見開かれた。
「ニル?これ………」
「バタバタしてたけどちゃんとしてあげたくて」
穏やかな笑みを浮かべたニルにミラは泣きそうになった。
真っ白なウェディングドレスは女の子なら一度は憧れを抱くものだろう。
けれど自分が着るなんて考えたこともなかった。
多くは望まないのに、どんどん沸き上がるいろんな想いに口が震えて言葉に出来ない。
「時間は余るくらいあるけど、我慢できなくて魔法でごめんね」
ミラがフルフルと首を振るとたくさんの飾りも一緒に揺れる。
「記念を大切にするのは人間。俺たちは祝うことよりその時を重んじ……永遠に忘れない。
限りある時間が長すぎるせいだろうね」
半永久を限りある時間というのはおかしいが、膨大な時間の中は凝縮された人生とは違うのだろう。
「喜んでくれるなら何度でもこんなことをして………長い時間を過ごそう」
「たくさんはいらないから…………ずっとずっと………ずっと、いっしょにいて」
長い時間縛られてたっていい。
子供みたいでもいい、わたしは気のきいいた言葉が思い付かないけど、伝えたい言葉はたくさんあっても少しずつしか言えない。
それでもニルが好き、
こんなに想われるのが幸せすぎて逆に胸が痛い。
体が邪魔なくらい好き。
ミラは自分からニルに抱き着き、ギュッと力を入れると同じようにしてくれた。
「明日も明後日もその次の日もずっと………、一緒にいてね。
一人にしないで、」
「うん」
「浮気しないでね」
「しないよ」
「イシュをいじめないでね」
「可愛がってるよ?」
それから、それから、と続いた言葉に苦笑しながら答えていくのは楽しかった。