彼女に捧げる新世界
浮遊感を感じたあと、地に足がついた。
少しずつ安定する……。
ゆっくりと目を開くと、大きな机のある広い部屋の中にいた。
そっとカイトの手を離し、キョロキョロとすると彼は机の方に向かい、大きな椅子にどっかりと座った。
「…………信じられないな」
ふぅ……、と息をつき額に手を当てる。
「わたしも最初は思った……、でも慣れるよ?」
「勘弁してくれ」
うんざりだと言うようにそっぽを向いてしまい、ミラは苦笑した。
「机、すごく大きいね……。書斎?」
「一応な……それより今のような事はお前のいたところでは日常なのか?」
チラリとシムとミラを見つめカイトが真面目に言う。
日常かと言われれば、彼女にとって日常だったし、たくさん歩くことは逆にあまりなかった。
「日常といえば日常だったよ、わたしは城からあまり出なかったし……」
「人間に理解してもらう必要もありませんしね」