彼女に捧げる新世界
「シム、そんな言い方はよくないわ」
あまりの嫌みっぽさにミラは少しだけ嫌な気分になる。
カイトがどういう人か今はわからないが、言い方ってものもあるだろう。
ミラが見つめるとシムは少しシュンと肩を落とした。
「俺がどう思われてもいい。革新の為に手を汚したのは事実だからな……、
歩みを止めるわけにはいかない」
「カイトは革命家なの?」
「違うが、遠い存在ではないな………」
じゃあ何だというのだろう………?
首を傾げると、綺麗な青の瞳がミラを見つめた。
「俺は元々軍属で、現代を変えるために政治を利用し、現在はこの国のトップ………首相だ。
お前の世界観で言うなら王とでも言えば分かりやすいか?」
王………?
王様には見えないくらい軽装だし、側近もいないが………?
「えらい人?」
そう言うと、彼はクッと笑い声を上げた。
「まぁ………そうだな。
人を動かす権力は貰っていることだし」
「じゃあ、どうして魔王を求めるの?
あなた、困ってるようには見えないわ」