彼女に捧げる新世界
決して世界を壊すつもりがなかったとしても、少し力加減を間違えれば大惨事になる。
世界を潤している存在ではあるが、いつでも滅ぼせる可能性を秘めているだろう………。
あの世界でもそうだった、
魔王を利益のために求めた者はろくな結末を迎えていない。
彼らは生も死も持っている…………。
静かな瞳から感情は読めないが、ミラはまっすぐにカイトを見つめた。
無表情の唇が少しだ弧を描く、
「魔王の定義までは知らないが、我々はそれなりに代価を支払うつもりだ……。
誤解しないでもらいたいが、魔王を求めているのはエルファリアではなく俺だ」
ニルはいないのに……?
いたとしても彼の求めを叶えることはないと思う。
カイトはあの皇子と少し似ているかもしれない……。
そう思いながら見つめる。
「カイト自身が魔王を求めるなら尚更。
代価なんて払う前に都市ごと滅ぼされる可能性もあるわ」
きっと彼はカイトを好まないだろうと密かに確信した。