彼女に捧げる新世界
「……………なるほど」
ならば、妻を人質にすればいい。
世間知らずそんな女一人くらい転がせる………。
魔王はその次でいい。
最終的に必要なのは結果だ、そこに至る過程ではない。
悟られないように笑みを作りミラを見ると、
わかってもらえた、というようにホッとしているのがわかった。
まずは甘やかせばいい、好きな事を好きなだけさせ、欲しいものを与えよう………。
現代都市を案内でもすればある程度、この世界の仕組みも理解するはずだ。
策はそれからでも遅くない。
今すぐに魔王がいなくてはならないわけではないし、じっくり攻めればいいだろう……。
この女の精神状態、思考、行動を把握する事を先にするべきだ。
「我々は知識が足りなかったようだ………、では、お前の世界の様子を教えてくれないか?
参考になることは取り入れたい」
ミラが少しだけ笑う。
「いいの。わたしはあまり世界に詳しくはないけど、わかる事なら答えるよ。
シムも一緒に話そう?
わたしがいた世界は不思議がいっぱいだったの!」
「ありがとうございます、ご一緒させてください」