彼女に捧げる新世界
広い書斎から出て少し進んだ部屋に案内されると、大きなガラス窓に囲まれた開放的な部屋に着いた。
窓からは広大な庭が見え、花はないが短い草が綺麗に揃えられていて緑の絨毯のようになっている。
窓にカーテンはなく、
大理石を敷き詰めた床には白い小ぶりなカーペットと革張りのソファーがL字型に置かれ、
分厚いガラスのテーブルが置いてあった。
鉢には細長い植物が静かにあり、花はなく細い葉が少しだけ揺れる。
寛げる空間といった感じだ。
見渡すと、ソファーから少し離れた位置に大きな長方形で薄いものがある。
前に見せてもらった端末機の画面を大きくしたような感じで、ミラは躊躇いがちに近づいた。
「それはテレビ」
「テレビ?」
「ああ、見ていろ」
カイトがポケットから端末機を出して何か操作すると、いきなり人が画面に映る。
「「っ!!!!?」」
シムとミラはそれを見てビクリと肩を震わせるが、彼は気にする様子なくソファーに座った。
「今入っている画面はニュース、今起きている事件、天気、世界の動きなどを伝える番組だ」