彼女に捧げる新世界
「人が話してる!どうやってこの中に入っているの?
大丈夫?」
恐る恐る近づくミラにカイトが笑う。
「この中にはいない、違う場所からの映像を流しているんだ。
通信といえばいいか……見ていれば慣れる」
「………すごいわ……不思議ね。
それにこの人、髪短い」
こんなに短い髪の女性は今までみた事がない。
肩くらいの長さの髪なんて小さな子供くらいだ。
大人の女性は皆結うために長い。
ほとんど結わなかった自分は珍しいものだと思っていたのに………。
世界の違いは本当に不思議だ。
「現代ではお前のように長い髪は逆に珍しい。
手入れに時間がかかり過ぎるだろう?」
「わたし?手入れはしてもらっていたから何もしてないけど、わたし一人ならほったらかしだよ」
「ほったらかし………」
「姫君……それは……」
二人とも微妙な顔でミラを見つめる。
何か変な事でも言っただろうかと、首を傾げるミラを見つめた二人は諦めたような顔で話を変えた。
「とりあえず、好きなところに座ってくれ。
何か飲むか?」