彼女に捧げる新世界



「人が話してる!どうやってこの中に入っているの?
大丈夫?」


恐る恐る近づくミラにカイトが笑う。


「この中にはいない、違う場所からの映像を流しているんだ。

通信といえばいいか……見ていれば慣れる」

「………すごいわ……不思議ね。
それにこの人、髪短い」


こんなに短い髪の女性は今までみた事がない。

肩くらいの長さの髪なんて小さな子供くらいだ。


大人の女性は皆結うために長い。
ほとんど結わなかった自分は珍しいものだと思っていたのに………。


世界の違いは本当に不思議だ。



「現代ではお前のように長い髪は逆に珍しい。

手入れに時間がかかり過ぎるだろう?」


「わたし?手入れはしてもらっていたから何もしてないけど、わたし一人ならほったらかしだよ」



「ほったらかし………」

「姫君……それは……」



二人とも微妙な顔でミラを見つめる。

何か変な事でも言っただろうかと、首を傾げるミラを見つめた二人は諦めたような顔で話を変えた。



「とりあえず、好きなところに座ってくれ。

何か飲むか?」


< 27 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop