彼女に捧げる新世界
「まぁ………すごい技術」
「シートベルトを留めるぞ、事故は起こさないよう注意するかが安全のためだ」
「わかった」
カチリと小気味良い音がして、少しだけ体が固定される。
なんとも不思議だ………。
隣のカイトもシートベルトを締めると、ポゥっと光る画面がたくさん浮かんだ。
『おはようございます、オルワンド首相。
本日はどちらに向かわれますか?』
女性の声が響き、キョロキョロとすると出所は車のようで、また驚いた。
「喋ってるわ!!?」
「ん?あ、ああ……。ナビゲーション、案内のようなものだ。
これも大元はエルファリアのもの」
「エルファリアはなんでもありね……」
ミラは少し引きながら呟いた。
彼女の様子を気に留めることもなく彼は機械に話かける。
「ちょっとしたドライブだ」
『かしこまりました。運転はいかが致しますか?』
「自分でする、マップを表示してくれ。
ナビゲートはいらない」
『了解しました。指示を実行します、お気をつけて』