彼女に捧げる新世界
そして、街を闊歩する軍人。彼らはチラチラとあちこちを見ていた。
自分が見られているわけでもないのに、なんだか落ち着かない………。
そわそわするミラに気づいたカイトが端に車を止めた。
「少し歩くか?
お前の衣服は目立ち過ぎるし、着替えを用意する。
シム、お前は他人から姿を見えないように出来るのか?」
「出来ます、確かに私は目立ちますから……後から参りましょう」
カイトが先に降りて、ミラの方のドアを開ける。
慎重にシートベルトを外し、ゆっくりと降りた。
夕方に差し掛かった街の窓はキラキラと橙色に反射し、適度な気温に安心する。
吸い込んだ空気は、少し淀んでいる気がした………。
「こっちだ。
上から下まで揃うから安心してくれ」
「え?
………わたしお金もってないよ?」
歩き出した彼を慌てて追う。