彼女に捧げる新世界
振り返ったカイトはポカンとした顔でミラを見つめた。
「俺持ちだが……?」
「でも…っ」
「気にするな、余るくらいの給与を貰っている」
そう言い、歩き出してしまった彼を小走りで追いかける。
女性向けの衣服が並ぶ通りを歩き、ふと目に入った服の前でミラは立ち止まった。
ふんわりとした薄い桃色のワンピースで、丈が短くはあるがとても可愛らしい。
派手さがなくシンプルだが、ふんわりとしているため地味さは感じられなかった。
「今年の最新作だな、このブランドは女性に幅広く支持されているショップだ。
いろんなジャンルで常に上位………」
「そうなんだ……」
「ここを見てみるか?」
「うん」
入った瞬間に、いらっしゃいませ!!
と、元気な声がかかりビクリとしてしまったが、カイトがスタスタと進んだため、自分も追う。
金額はわからないが、0がとても多い……。
彼が手にとったのは先ほどのワンピースで、ミラの肩や腕に合わせられた。
そして、一人で頷いている………。