彼女に捧げる新世界
「この先は一般人は入れませんが?」
「俺の面を知らないとでも?」
そう言った瞬間、男達の顔から明らかに血が引く。
サッと道を開け、無言で扉が開かれた。
「…………ごゆっくり」
「どうも」
腕を引かれ中に入ると、静かに扉がしまる。
瞬いた世界は、夢の中のようにおかしな景色だった。
裸であるく女性や、鱗のある子供、左右の瞳が違う少年、翼の生えた犬………。
生物の姿を無視した生き物たちが悠然といたのだ。
驚き過ぎて言葉も浮かばない………。
硬直するミラに苦笑しながら、彼は小声で囁いた。
「人体実験、いろんな生物を掛け合わせたり………局部を変化させたりしているんだ。
違法の薬物もここでは安価で所持できるし、人身売買もある。
売春もな………」
「……………っ!!」
路上でコトに及んでいるものも視界に入り、言葉も出なかった。
「イスキアは繁栄している分、闇も大きい……。
もちろん、間違っている光景なのはわかるな?」