彼女に捧げる新世界
カイトの家は広い。
地図を作るべきだと、ミラは思う。
イスキアの裏を見てから何日か経ち、とくに何かする事もなくのんびりと過ごしていたある日、
書斎のパソコンに向かう彼が珍しい声を上げた。
「は…………?」
パソコンからは小さな声が漏れるが、聞き取るには小さ過ぎる。
「メンテナンスは済んだはずだ」
「………、……」
「対応は技術者に任せてある」
「……………、……。
………!!」
「彼女の選択はいつも正しいだろう?
異常など少ないし、自己修復するはずだ」
「…………!……」
そっと近付いてみると、白衣を着た男性が慌てた様子で画面に映っていた。
「何かあったの?」
「………エルファリアの調子が良くないらしい。
ある警告を繰り返しているそうだ」
「警告………?」
男とは対象的の静かな声が返ってくる。
「ああ、詳しくは今から調べる。お前も見るか?」
「いいの?」