彼女に捧げる新世界
構わない。
そう言ったカイトは何処からか眼鏡のようなものを取り出し、ミラにかけさせる。
視界は少し薄暗く、四角いマスがズラリと並んでいた。
「どうしたらいいの……?」
「深呼吸をして、気持ちを落ち着かせてくれ。
合図を出したら目を閉じろ」
「………わかったわ」
ゆっくりと息を吸い、長く息を吐く。
数回それを繰り返すと、手を握られた。
「楽にしてくれ。
…………いくぞ」
ギュッと目を閉じた瞬間、体から何か出ていくような不思議な感覚に襲われ、カイトの手をギュッと握った。
不思議な感覚は一瞬のことで、すぐに足が着いた。
「遅かったね」
声がどこからか聞こえ、ハッと目を開くと目の前には白いワンピース姿の少女が浮いていた。
彼女はカイトを見つめた後にミラの方を向き、不思議そうな顔をする。
「あなたは初めて………、私の情報の中に存在しない人間だわ」
「彼女はミラ。異世界からの訪問者だ」
「異世界?非科学的すぎて理解が難しいけれど………、
はじめましてミラ、私はエルファリアの一つ。
イスキアの管理システムを担う者です」