彼女に捧げる新世界
ゆっくりと持ち上がる瞼から覗いた瞳は銀を散らした金色で、神秘的な輝き。
ふっくらした艶やかな唇がそっと声を漏らした。
「待っていました……カイト。
それと、ようこそお客様。
私がエルファリアの核である本体」
重なる音域の声は、音楽を聞いているかのように耳に届く。
美しい人だと思った。
自然ではないが、不自然とも言い切れない。
ミラは緊張しながら頭を下げる。
「はじめまして、ミラです」
そう言うと、彼女はふわりと微笑んでくれた。
「ようこそイスキアへ。
通常でしたら市街地をご案内しましたが、現在は出来ない理由がありまして………申し訳ありません」
「いえっ!!いいの!」
ありがとう、と呟いた彼女はミラからカイトへ視線を向けた瞬間、無表情になった。
「カイト、あなたは首相ですね?
ご自身の立場を弁えた行動を推奨します。
夢物語は止めるべきでしょう」
「言われるまでもない。
職務はこなしているし、アレは夢物語ではない」
アレ…………?
一体何の話なのかさっぱりわからない中、会話は進む。
「趣味にまで口を挟むつもりはありませんが………、
オカルトマニアだと思われるのはどうかと思います」
嫌そうに顔をしかめる彼は相変わらず無表情の彼女を見つめ、言った。