彼女に捧げる新世界



ゆっくりと持ち上がる瞼から覗いた瞳は銀を散らした金色で、神秘的な輝き。


ふっくらした艶やかな唇がそっと声を漏らした。



「待っていました……カイト。

それと、ようこそお客様。
私がエルファリアの核である本体」



重なる音域の声は、音楽を聞いているかのように耳に届く。


美しい人だと思った。



自然ではないが、不自然とも言い切れない。


ミラは緊張しながら頭を下げる。



「はじめまして、ミラです」


そう言うと、彼女はふわりと微笑んでくれた。


「ようこそイスキアへ。

通常でしたら市街地をご案内しましたが、現在は出来ない理由がありまして………申し訳ありません」


「いえっ!!いいの!」


ありがとう、と呟いた彼女はミラからカイトへ視線を向けた瞬間、無表情になった。



「カイト、あなたは首相ですね?

ご自身の立場を弁えた行動を推奨します。

夢物語は止めるべきでしょう」



「言われるまでもない。

職務はこなしているし、アレは夢物語ではない」


アレ…………?


一体何の話なのかさっぱりわからない中、会話は進む。



「趣味にまで口を挟むつもりはありませんが………、
オカルトマニアだと思われるのはどうかと思います」


嫌そうに顔をしかめる彼は相変わらず無表情の彼女を見つめ、言った。

< 49 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop