彼女に捧げる新世界


「お前に理解出来ずともいい。

だがアレは夢じゃない、彼女がそれを証明している」


エルファリアがカイトの後ろのミラを探るように見つめ、平坦な声で言う。


「彼女は……確かにこの世界の人間ではない可能性はあります。

ですが、それが雷皇という存在と何の関係が?」



フッ


「彼女は雷皇の、魔王の妻だ。

確たる証拠だろう」



勝ち誇ったように述べる彼にミラは複雑な気分だった。


もういない存在のニルの話はあまりしてほしくないのに………。


と、


「妻という証拠はどこに?
魔王を呼ぶと言い出した次は妻ですか?

何をしても私の崩壊はとめられません………」



エルファリアは驚きもなく淡々と、事実を告げる。


驚いたのはミラの方だ。



「崩壊って………」



ミラを見つめた彼女は切なげに笑む、


「私は機械ですが、永久の存在ではありません。

あなたが魔王の妻であるかは問いません………、彼の物語にお付き合い下さりありがとうございます」

「わたしは本当にニルの妻!嘘じゃないわっ!」


嘘なんかじゃないっ!

嫌な気分になったミラが思わず叫ぶと、彼女の眉が動いた。
< 50 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop