彼女に捧げる新世界
「お前に理解出来ずともいい。
だがアレは夢じゃない、彼女がそれを証明している」
エルファリアがカイトの後ろのミラを探るように見つめ、平坦な声で言う。
「彼女は……確かにこの世界の人間ではない可能性はあります。
ですが、それが雷皇という存在と何の関係が?」
フッ
「彼女は雷皇の、魔王の妻だ。
確たる証拠だろう」
勝ち誇ったように述べる彼にミラは複雑な気分だった。
もういない存在のニルの話はあまりしてほしくないのに………。
と、
「妻という証拠はどこに?
魔王を呼ぶと言い出した次は妻ですか?
何をしても私の崩壊はとめられません………」
エルファリアは驚きもなく淡々と、事実を告げる。
驚いたのはミラの方だ。
「崩壊って………」
ミラを見つめた彼女は切なげに笑む、
「私は機械ですが、永久の存在ではありません。
あなたが魔王の妻であるかは問いません………、彼の物語にお付き合い下さりありがとうございます」
「わたしは本当にニルの妻!嘘じゃないわっ!」
嘘なんかじゃないっ!
嫌な気分になったミラが思わず叫ぶと、彼女の眉が動いた。