彼女に捧げる新世界
!!!?



バッと起き上がると、びっしょりと汗をかいていた。


今のは…………?



キョロキョロと辺りを見るが、昨日のまま。




夢?




夢にしては妙に生々しく覚えている声だった。


まるで、近くで囁かれたような。



寒気を覚えながら起き、閉じられたカーテンを開くと夕方になっていた。



いつ寝たのかはわからないが、結構な時間が過ぎたのは違いない。




ぼんやりと外を見ながらシムを呼ぶ、



「おはようございます、姫君。

………どうかなさいましたか?」



真っ青ですよ?



と、不安げに聞かれて返答に困った。



「おはようシム。大丈夫、怖い夢を見ただけなの」



夢の内容までは言えない、
真っ暗な闇の中で“彼”の声がした。


姿もなく、声だけを聞いた………。



そんな事を言えるはずがなかった。




「そうでしたか……魘されている様子では無かったので起こさなかったのですが……」


「大丈夫、大丈夫だよ。ごめんね………、

カイトは何をしてるの?」



不安そうな顔に慌てて話を変えると、シムは嫌そうに言った。




「あの男は怪しげな書物と睨み合っています。

それよりも、何かお持ちしましょうか?」
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