彼女に捧げる新世界
「いらないわ、彼のところに連れて行ってくれる?」
カイトには聞かなければならない事がある。
何かをしようとしているのはわかるが、夢のせいか嫌な胸騒ぎがした。
窓の外は強風で、まさにこれから嵐が訪れる………そう物語っていた。
コンコン。
「どうぞ」
以外にも早い返事を聞きながらそっと扉を開けると、彼は机に向かい何かをしていた。
ミラはゆっくりと近づき、机の上を覗き込むと古そうな書物がたくさん並び、模様や記号のようなものがずらりと埋まるページが開かれていた。
「カイト………これは?」
「旧時代の遺産だ、研究はあまりされていないが書物は残っていたから調べている」
「無茶は止めて、ニルはいないわ」
フッと視線が上がり、透き通った青い瞳と視線が絡む。
彼の顔に表情はなかった。
「お前の言葉がヒントだった、」
「え…?」
「印があると言ったな?」
言った…………ような気もするが、あまり覚えていない。