彼女に捧げる新世界





何を?

何を言っているの………?



瞬きを忘れ、目を見開いたまた凝視する。


カイトは立ち上がり、ミラの目の前で少し屈んだ。



「魔王は、

膨大な力の消失によって霧散しただけだ。

それをかき集め、受け皿となる器を構成させる。

雷皇はその名が示す通りなら“雷”が根源になるはず………」



今夜の嵐は、都市最高の機械さえ予測の難しい規模となる。


警戒レベルが最大だ。


国民は集団に分けて退去させている閑散とした状態………。

何か起きたとしても被害は想定内で、死傷者は少ないはずだ。



そのため、またとないチャンスになる。




「それに、印を持つお前がいる。

条件はクリアしたんだ」



言葉がひどくゆっくりと頭に入り、意味を理解するまでに時間がかかる………。


やめて、


頭は否定しているのに、心は“彼”を求めていて、涙が零れた。



期待させないで、

会いたくて仕方ないから。


そう願っても、唇は動かない。





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